一歩を踏み出す勇気

…2003年2月10日。ボクは生まれて初めて海外へ旅立った。場所はイタリア。
それも1人。これから18日間の旅が始まる…


2月に人生2度目の海外一人旅をすることになった話は、以前から数回日記
に書かせていただいているのでご承知かもしれませんが、今日は、ボクが
人生で初めて海外に一人旅をしたときの話を今日はしようと思います。


ボクは大学生になるまで一度も海外へ行ったことがなかった。別に海外へ
行きたいという願望もなかった。それがなぜ、海外へ行きたいと思うように
なったのかは自分でも分からない。本当に分からないのである。ただ、
イタリアに行ってみたいなという思いだけは大学へ入学後すぐに抱くように
なった。それも、1人で行きたいという思いを抱いていた。


1人で行きたいと思ってはいたけれど、何せ海外へ行ったことがないので、
海外旅行の勝手が分からないし、英語圏でなく治安もいいとは言い切れない
イタリアへの旅行なので恐怖心もあり、誰かと一緒に行こうと考えていた。
そして、一緒に行く相手を探そうと声をかけるのだが、お金がネックになって
誰もOKしてくれなかった。そう、仕方なしに一人で行くことになったいう
考えもできるのである。もしかしたら、本心では一人旅をしたかったボクに
神様がそうなるように仕向けてくれたのかもしれない。


さて、一人で行くということになると問題は親だ。当然海外へ行ったことの
ないボクを、ましてや1人でイタリアに行かせてくれる可能性はあまり高く
ない。基本的にボクの行動にはケチをつけてこない親ではあるが、今回
ばかりはハードルが高そうだと言うことは分かりきっていた。


親にイタリアへの一人旅の話をするも、あまりいい返事をもらえない。ダメ
とは言われないんだけど、期間を短くしろだのなんだの色々言われる。でも、
ボクはどうしても2週間以上は行きたい。ボクも頑固なのであまり譲らない。


ボクは、もうガマンできなくなって「航空券を買ってしまえば文句も言えなく
なるだろう」と思って、半ば強引に親に「もう買ってくるから!」と言って
航空券を買った。16泊18日の航空券。直行便にしろだのなんだの、親の
意向もある程度は取り入れてあるが…
そして、航空券を買ってしまったら、親も文句は言わなくなった。「楽しんで
来い」とだけしか言わなくなった。


航空券を買ったのが出発の2ヶ月前。この2ヶ月はイタリアについて色々
調べた。やっぱり初めての海外だからすごく不安。怖い。
不安で怖いのになぜ行くのかと思われるかもしれないが、行きたいから
行くんだ。怖いから、不安だからといって一歩を踏み出さなかったら何も
始まらない。何も得られない。


2ヶ月時間があればイタリアのことを調べたり、体験記を読んだりして、
準備を整え、ついに出発となったのである。
出発の前日は成田空港から近い、千葉市に住んでいる友人の家に泊めて
もらった。表向きの理由は、飛行機の出発が午前で、ボクの家から遠いから
泊めてもらうということだったが、まぁこれはこれでホントなんですけど、
振り返ってみると友人と一緒にいれば不安や恐怖心も少しは和らぐかなと
いう思いもあって泊まろうと考えたのかなとも思った。


出発の日は友人に車で空港まで送ってもらった。なんともVIP(笑)
そして、友人と空港内でゆっくり話をして、出発までの時間を過ごしていた。


そしてついに出発。飛行機の中で外国語で話しかけれらるのも初めて。
13時間も飛行機に乗るのも初めて。飛行機の中ではずっと緊張しっぱなし
だった。「向こうに着いたらどうすればいいんだろう?」頭の中はそれだけ。
飛行機に乗ってしまった以上、後戻りはできないのである。


そんな不安で心がいっぱいだったときに、ふと、機内の邦楽チャンネルを
聞こうと思った。飛行機の中では持参したMDを聞いていたのだが、なぜか
その時だけ、機内の放送を聞いてみようと思ったのである。


その時にちょうど流れてきたのがZONEの一雫。今でも鮮明に覚えているが、
この時の衝撃はホントにすごかった。ボクの不安な心を支えてくれた。
それまで、ZONEなんて気にも留めないアーティストだったのに、そのとき
以来ボクはZONEファンに。こんな言葉を使うと変態だと思われるかも
しれないが、ボクは、この飛行機でのZONEとの出会いは運命だったと思って
いる。


そんなこんなでミラノのマルペンサ空港に午後の5時くらいに着いた。
冬なので外は暗い。空港にいるイタリア人がなんかすごく恐く見える…
さぁてと、やるべきことはバスで市内まで行くことなのだが、どこで
買えばいいのかがよく分からないなぁ〜なんて思っていると、人が並んで
いる売り場を発見!そこに並んだら何とかバスのチケットを買うことが
でき、市内までいけることとなった。


市内までは50分くらいだっただろうか… 「ここがイタリアかぁ〜」
なんて感動に包まれながら、ミラノ中央駅のバス停に到着。
初日のホテルだけは日本で予約してあるから、探すことに。う〜ん、
ガイドブックなどで、夜の駅前は要注意みたいに書いてあったから、
気も引き締まる。
駅からすぐ近いところのホテルを予約しておいたので、すぐ発見できた。
まさに徒歩1分もしないところだ。


ホテルのチェックインもなんとかカタゴトの英語でクリアし、夜のミラノ
散策に出て、このとき初めてイタリアをゆっくり感じることができた。


これ以上先を書くと長くなってしまうので、もう書かないが(もし書いて欲しい
と言う要望があれば後日書きますので。イタリアに一人旅を計画されている方
には大いに参考になるかもしれません)、以後、ホテル探しや鉄道の切符の
購入も問題なくでき、トラブルにも巻き込まれることなく楽しいイタリア
一人旅をすることができた。


ボクは、この旅を通して、様々なことを得たと感じている。様々な文化や
価値観を知ることができたし、自分に自信が持てるようになった。そして、
一人旅の楽しさを知ることができた。
もし、あの時、誰か一緒に行く人が見つかって一人旅をすることがなかったら、
去年・今年と行った沖縄への一人旅もしなかったかもしれない。来年2月の
ヨーロッパ一人旅なんて考えもしなかったであろう。


あの時、誰も一緒に行く人が見つからず、そして恐怖や不安に襲われても
なんとかしようと一歩を踏み出した勇気がなければ、ボクは色々なものを
得られるチャンスをみすみす逃していたことだろう。



ボクみたいに旅行においてもそうだが、勉強や恋愛においても一歩を踏み出す
ことは勇気がいる場合がある。その勇気を出さなくて、踏み出さなかったら
自分が傷つくことはない。悩むこともない。だから踏み出さなくてもいい。
踏み出したら傷つくこともあるだろう。悩むこともあるだろう。だけど、
踏み出さない限りは新しいものを得ることはできない。
ボクはこの旅行でその一歩を踏み出すことができて色々世界が広がった。
だから、ボクは今後の人生においても一歩を踏み出す勇気を大切にしようと
思っている。